悶絶修行秋田編その2




苦しくなってきました。旗のなびき方を見てください!この強さは並じゃありません。(涙)
そして片側2車線で路側帯なし。歩道走行を強いられます。標識は仙台ですらこの距離です…。


 

花巻空港が見えてきました。ちょっと覗いてみる事に…。


 

13時35分、食事休憩です。ここまでにボトル4本の水を消費。同じくエナジーゼリーも4本消費。
画像右→ウエットティッシュで露出部分をふき取ると、こういう事になります。ロングライドは、
こんな試練も乗り越えなければなりません。ちなみに「メイク落とし」が油汚れも落とせて便利です。




あまりの道の悪さに一本裏の道に入るとこんなにも良い道がありました。ずっと続けばいいな〜。
おっと!地図を入れているビニールケースがちぎれてしまいました。¥100ショップで買った
から、こんな程度なのかも…。そして相変わらず向かい風吹きまくりです。




17時、138km地点。あまりの辛さに公園のベンチで横たわることにしました。
ありえないほどのスローペースです。なんといってもこの向かい風、風速10mを超える
勢いだと携帯したラジオの天気予報が言っていました。台風の影響ですかね?
10分ほどの仮眠を摂り、しばらく走ると辺りは日没を迎えようとしていました。
サングラスからクリアレンズに交換します。


 

完全にナイトランとなりました。気温の低下と共に身体のダメージを防ぐため
ウインドブレーカーを着用します。現在18時28分、昼間との温度差は10度です。




19時10分、166km地点。1日走ってこの距離しか出ないなんて予想外の展開です。
このままでは絶対に目的地の自宅まで到達できません。睡眠を削るしか無いようです。
まあ、もともとそのつもりでいましたが…。画像は食事タイムですが、なんと何かのキャンペーンで
缶コーヒーが当たってしまいました。(^o^)/ ヤッター!ファミリー○ート最高〜♪
ペース配分を考えてペダルを漕いで来ましたが、筋肉の炎症がひどく、もしもの為に持参した
湿布が気を紛らわせてくれました。ス〜っとした感触にチョットだけホッとします。




22時21分、206km地点。排気ガスと粉塵とオヤジの汗にまみれた身体を一旦清める時が
来ました(^o^;) 宮城県三本木町その名も「三本木の湯」国道沿いにあるので入り易く、
いい気分転換になりました。マッサージ器¥200分やりました。ここで、あまりにも異臭を
放っていたグローブととバンダナを洗ってドライヤーで乾かしました。そして0時再スタート。




いよいよ気温も下がり本格的に深夜へと…。この時点でまだ仙台まで23kmと先は長いです。
このあたりから胃に異常を感じ始めました。食べたものが消化していかないのです。
毎度ロングライドのときは便秘します。固形物を食べてエネルギー補給するには辛すぎるので、
どうしてもエナジーゼリーが多くなります。自転車の速度や勾配によっても異なりますが、
1時間に300〜500kcal消費します。基礎代謝も含めると今回のペースは1時間に400kcal
と計算しています。どうしてもそこまで補給できないのが現状です。補給に失敗すると身体が
全く動こうとしなくなります。去年の日光を思い出しますね(^^; ここで10分仮眠。


 

4時20分、263km地点。国道4号から国道6号に切り替わります。ちょっと近づいた気がしますが
実はまだ半分来ていません。本当に今日丸1日で帰れるのか心配です。翌日は仕事なのですから、
絶対に間に合わせなければなりません。画像右→阿武隈川が白んで来たところです。
仙台市内の混雑部分を深夜に抜けられたのは幾分ラッキーだったかもしれません。なんせ歩道も人で
いっぱい、車道も車でいっぱいですから…。前回来た時は歩道を押すしかなかったほどです。




5時30分、280km地点。やっと半分を超えました。しかし、この時点ではあと何キロあるか
定かではありませんでした。気温が上がり始め、ウインドブレーカーを脱ぎます。
福島県山元町。このあたりでやっと向かい風がゆるくなりました。後ろを振り返ると山ばかりです。


 

山の上を見てください。湿った空気が地形の関係で雲のような水蒸気になっているようです。
頭の上に綿菓子を乗せているかのようでした。画像右→綺麗なフラワーロードですね(^_-)-☆
こんな道路が現れると気も安らぎます。路肩も綺麗でとても走り易いです!


 

福島県相馬市。旗を見てください!やっと、やっとわずかに風が押してくれるようになりました!
ここまでおよそ290km…ずっと向かい風でしたから(涙) 夜通し走り続けて、遂に眠気に
襲われました。8時ちょうどグランドを見つけ、テニスコート脇のベンチで仮眠をとることに
しました。30分ぐらい寝ていたようです。気が付くと「おはようございます!」と挨拶され、
慌ててしまいました(^^; 数人の方たちがネットを張り始めていました。そそくさと退散です!




10時30分。日陰が気持ち良い〜。思わず声を上げて倒れ込む様です。
このあたりになると、何をやっているのか分からなくなり距離をメモしたり出来なくなって
いたようです。しばらくデータを残してありませんでした。


 

画像左→ロング用に柔らかいサドルを用意していたのですが、やはりいつものサドルで来ました。
一応カバーをかけて、少々柔らかく感じるようにしました。レーサーパンツのパットにはワセリン
とシャーミークリーム(自転車用パンツの摩擦防止クリーム)を重ねて塗る!これが最高にいい!
4年前の400kmではお尻が破けましたが、今回は平気ですから♪(と言っても痛いですよ)
画像右→せっかく路肩が広いのに補修が3層になっていて、そこが段差になってます。
これのどこを走れば良いのかわかりません!1度前輪を大型トラックの前で持っていかれ、相当
焦りました。福島県はこんなところが非常に多かったです。予算がないのですかね?




ちらちらと見えていた海が遂に目の前に姿を現しました。ここは福島県いわき市四倉。
画像中央→波立(はったち)海水浴場です。非常にいいロケーションです。
現在12時02分、381km地点。
画像右→こちらはすぐお隣の二つ島。台風のうねりがもの凄いですね!




自転車のメーターです。下の数字は今回走った距離ですが、僕が一気に走った記録が
401kmですから、この時点で新記録という事ですね(^o^)/
だからと言って別に何も変わりませんが…。(^^;


 

いよいよ茨城県に入ったところです。ここまでの記録がほとんど残っていません。
相当参ってます。また眠気が襲ってきて、ふらつき始めたので定休日の物産店のベンチを
お借りすることにしました。現在16時04分、445km地点。


 

17時。日が落ちようとしています。ここは日立駅です。交通量が多くなると共に、勤め帰りの
車で渋滞も起きています。事故に巻き込まれないようにしないと…。


 

日立からここ土浦まで補給の記録しか残っていませんでした。
どうやってここまで来たかよく覚えていません。確か何度かコンビニに寄って水とゼリーを買い、
隅に寄りかかっていつの間にか意識を失っている…というのが何度かあったように思います。
残っている記録は…
17時54分、水と梅干。
19時55分、水。501km
21時30分、アイスと赤飯おにぎり。眠い。522km
…とこれだけでした。
画像は土浦の「りんりんロード」です。見慣れた景色に我に返ったと同時に「やれる!」
と確信した瞬間でもありました。そういえば、どこかで雨にも降られたなぁ…。




23時55分、自宅にて。
憔悴しきった表情と、達成した安堵感。
「到着致しました!」


 

メーターは550.24kmを表示しています。
乗車時間はメーターが2回りしていますので、26時間2分10秒です。
最高速度→67.7km/h、平均速度21.1km/h
ペダルを回転させた数→1198400回。
消費した水分→8.5g
摂取したカロリー→およそ9600kcal
サプリメント→アミノバイタル8袋、クエン酸5袋。
水戸を過ぎてからまったく胃がモノを受け付けなくなり、
荒川沖あたりで足が急に回らなくなりました。
牛久あたりで漕ぐ気力が遠のき、ハンガーノック寸前でした。
これだけ補給してきても、体重が1.5kgも落ちてしまいました。


〜エピローグ〜

いつか秋田まで一気に行ってやろうと思い続けていました。その時がこの瞬間現実のものとなりました。
思えばスキーのオフトレと肥満防止にと始めた自転車ですが、毎日の通勤の中で見るものが車通勤とは
全く異なる世界で、特に季節の移り変わりや天候の変化に気が付くようになりました。自転車のお陰で
タバコもやめ、体調も良くなり、僕にとっては良いことの方が多かったです。しかしその反面、車と
接触したり転倒したりと危ない事もあったのも事実です。

今回のロングライドは、条件的には決して良かったとは言えません。もっと風向きが一定な日を選ぶ事が
成功の秘訣だと思います。向かい風区間290kmは長すぎますし、予想よりはるかに強い風が吹いた
のも想定外でした。肉体のダメージも大きく、極度のストレスからか胃から出血、血尿、手首の腱鞘炎、
手のひらの異常な痛みとしびれ、腰の痛みと足の筋肉組織の異常な痛みなど通常の生活を取り戻すのに
3日間かかりました。いまもまだ完全ではありませんが、もう元気に毎日を送っています。

もし、これからロングライドに挑戦する方がこれを見たならば、一つアドバイスがあります。
「マイペース!」
他人の記録などに惑わされることなく、自分のペースで楽しんで欲しいです。
ロングライドは非常に危険な部分もあります。安全対策は万全にしていただきたいです。
途中で棄権する勇気も持っている人だけが楽しめる資格があると思います。

僕はこのロングライドをもって、短時間でこれ以上の超長距離にトライすることはないと思います。
これからは、もっと安全で気持ちのいい場所を心の底から味わうようにしたいと思います。
この事に気が付いたことが、今回のロングをこなした一番の収穫です。